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RCEP(アールセップ)って何?

 今話題の我が国の貿易総額のうち約5割を占める地域の経済連携協定で、6月に日本関税協会の説明会に参加する予定ですが、実務に携わる私としてはまた覚えること、やることが増えるのかと思うと正直ゾッとしております。

 貿易実務的には、中国の暫八制度(関税暫定措置法第8条)を使用することがなくなるのがメリットかもしれませんが、それ以外は負のオーラが消えない心境です。

 「はい、これ特恵を適用してください。」で済めば簡単ですが、原産性を証明するのに高度な専門知識を有しますので、手続きが超がつく難易度です。消費税の軽減税率のときもそうでしたが、お国の偉い方々は、行政の大変さもわかっていただきたいところです。

 そんなことを言っていると前に進みませんので、前向きに捉えていこうと考えておりますが、RCEP(アールセップ)とは「東アジア地域包括的経済連携」と呼ばれる、日本・中国・韓国・ASEAN10ヵ国に、オーストラリアとニュージーランドを加えた15カ国が参加している、自由貿易の協定です(RCEPとは「Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement」の頭文字をとった略称)。

 

経済連携協定EPA/FTA

経済産業省HPより)

 

RCEPの概要(外務省資料)

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 中国輸入ビジネスをされている方には、非常に朗報ではないでしょうか。一昔前は、中国にも一般特恵制度(GSP)がありまして、平成31年4月1日より、一般特恵関税制度(GSP)対象国を全面的に卒業することになりました。これは先進国並みの経済力をつけた国や地域について対象外とするための日本における措置となります。

 今や中国も経済大国となり、アメリカと貿易戦争を繰り広げておりますが、関税というのは輸入者にとっても重要な戦略要素であり自己申告制度が採用された今ではちゃんとした商品知識が求められる時代になりました(聞いた話によると、今回第三者証明も選択できるようです)。

 正しい商品知識をもって、中国からの輸入手続きをすれば関税が免除されることになりますので、RCEPは皆さまにとって非常に有益な制度と言えるでしょう。

  年末(11月頃)に発効されるとの噂ですので、詳細がわかり次第、改めてご説明させていただきます。

 中国や韓国の輸出入が熱くなりそうですね。

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